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演劇集団キャラメルボックス30th vol.1『クロノス』 [観劇]

演劇集団キャラメルボックスの30周年記念公演第一弾『クロノス』『パスファインダー』を観てきました。
まずは『クロノス』から。

物質を過去に飛ばす機械、クロノス・ジョウンター。吹原和彦(すいはらかずひこ)は研究員として、この機械の開発に携わっていた。ある日、会社の近くの交差点で、タンクローリー車が横転し、角の花屋に突っ込む。花屋の中には、吹原が中学時代から思いを寄せていた蕗来美子(ふきくみこ)がいた。事故が起きる直前に行って、彼女を助けよう! 吹原はクロノス・ジョウンターに乗り込み、自分自身を過去へと飛ばした……。
(公式サイトより)

この作品は梶尾真治さんの『クロノス・ジョウンターの伝説』という短編集を元に作られています。10年前に初演された作品で、ずっと再演を期待していました。

このクロノス・ジョウンター、ドラえもんなどに登場するような完璧なタイムマシンではありません。過去の世界に留まれるのは僅かな時間、しかも現代には戻って来られず、元いた時代より先の未来へ飛ばされてしまいます。
事故から彼女を救おうと過去へ飛んでは邪魔が入って失敗し、それでも諦めずに何度も過去へ飛ぶ吹原。過去へ行く度に体力を消耗し、更に飛ばされる未来は現代からどんどん遠くなるにも関わらず、彼女を助けられるまで飛び続ける姿に胸が詰まりました。昨年冬の『太陽の棘』を観た後でもあるので、残された家族や友人達の気持ちにも感情移入して、吹原と来美子はただの同級生、恋人でも何でもない吹原の片想いなのに、どうしてそこまで出来るのだろうと胸が痛くなります。(恭一と吹原では状況が全然違いますが。)吹原の同僚・藤川の「諦めは逃げじゃない、一時的な撤退だ」という趣旨の台詞が印象的でした。過去で邪魔が入る度にもどかしくなると同時に、誰も泣かせず来美子を救って、吹原自身も報われる、そんな道は本当に無かったのかなと思われてなりません。
真っ直ぐな吹原の想いと彼を見送り案じる周囲の人達の想いに心打たれました。

間もなく公演は終わりますが、是非たくさんの人に観て頂きたい作品です。

原作小説はこちらです。

クロノス・ジョウンターの伝説 (徳間文庫)

クロノス・ジョウンターの伝説 (徳間文庫)

  • 作者: 梶尾 真治
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2015/02/06
  • メディア: 文庫



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