SSブログ

演劇集団キャラメルボックス2013サマーツアー『ずっと二人で歩いてきた』 [観劇]

キャラメルボックスサマーツアー2本目、前記事の『雨と夢のあとに』から5年後という設定になっています。

桜井雨は18歳。大学へ入学するため長野から東京へやってくる。引っ越しの日、アパートの窓の外からウッドベースの音が聞こえた。数日後の夜、アパートの前で、男が倒れているのを発見。それは、上の階の住人で大学生の栗原雅俊という男だった。雅俊を部屋に運び込むと、そこにはウッドベースがあった。翌日、雨が雅俊の部屋を訪れると雅俊は中に入る事を拒んだ。恋人? しかし、同居人の姿を見た者は誰もいなかった……。
(公式サイトより)

まず、誰しもが思ったであろう事を。
「ほっくん、5年の間に何があった……?」
さて、観劇前はタイトルの「二人」とは、雨と幼馴染みの北斗を指しているのかと思っていたのですが、前面に出ていたのは雅俊とその兄、優作の二人でした。喧嘩っ早く豪気な兄を繊細で優しい雅俊は幼い頃から慕っています。強い絆で結ばれた兄弟。けれど兄の姿は誰にも見えていない。
優作も雨の父・朝晴と同様、幽霊となって弟を守ってきていたのですが、雅俊の望みを妨げる者を排除し突き進む姿、そしてそれをわかっていながらも兄を慕う雅俊の姿は、愛情よりも執着のように見えてきてしまいました。根底には愛情があるのがわかるのですが、あまりにも強すぎる気持ちに恐ろしさを感じました。幼い頃、母親に捨てられたという過去も2人の絆と想いを歪みかねないほど強いものにしたんだろうと思います。
天国へ行った朝晴からの「世界一幸せになれ」という宿題に悩む雨に、死して尚共にいる雅俊達の姿は間違ってると映ります。天国へ行くよう勧める雨に激昂する優作は一緒にいた北斗を攻撃、大怪我を負わせます。優作の想いに恐怖を感じながらも必死に説得する雨。死者が生者に触れると寿命を縮める、それを証明するように頻繁に体調を崩し倒れる雅俊に頑なだった優作の心が揺れ始めます。雅俊も、大好きな兄と別れるのは辛い、けれどこの生活をいつまでも続けていられないと気付き苦悩します。
優作が天国に行くことを受け入れ、雅俊に最後の想いを語るシーンに胸が熱くなりました。
雨に祖父母や母、北斗達がいたように、雅俊にも家族がいて、支えてくれる人がいる。愛する人がいなくなってしまっても、取り残されるわけじゃない、1人ぼっちなんかじゃないんだと感じさせてくれます。

愛って何か、幸せになるってどういう事か。考えさせられる作品でした。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:演劇

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。