音楽劇『新・センセイの鞄』 [観劇]
今日は紀伊国屋サザンシアターへ音楽劇『新センセイの鞄』を観に行ってきました。
30才余りの年の差を越えた老齢のセンセイと教え子ツキコさんとの淡々とした恋。
川上弘美さんの原作小説で、センセイ役は沢田研二さん、ツキコ役は富田靖子さんです。
昨年演劇集団キャラメルボックスを退団された細見大輔さんも出演されています。
(私のお目当ては細見さんでした^^)
ツキコのモノローグの後、朗々と歌う沢田研二さん。歌詞がとっても切なくてジーンとします。
そしてとっても素敵な歌声に惚れ惚れでした。ザ・タイガースの頃や、その後ソロで活躍された時代を知らないのですが、今日の歌声を聴いて、「もっと数年早く生まれたかった!」なんて思いました。
赤提灯のさがった居酒屋で、たまたま再会したセンセイとツキコさん。何度か居酒屋で顔を合わせ言葉を交わす2人の間の空気が、お互いを尊重し敬意を払いつつもゆっくりゆっくり近付いていく様や、下町を思わせる雰囲気がどこか懐かしく、心和みます。
国語の教師らしい教養と落ち着きに満ちたセンセイの所作が魅力的で、可愛らしい子どもっぽさを残すツキコさんとのやり取りにも和みます。
センセイの「ツキコさん」と呼ぶ声が、だんだんと愛しさが込められたものになっていくのにジーンとなりました。
印象に残ったのは、かつての妻の話をした時の先生の言葉です。
妻は自由奔放で奇抜な行動をとる人だったと語るセンセイ。彼女の行動が招いた騒動の後、センセイに叱られてしゅんとなった彼女が、「人が生きていくことって、誰かに迷惑をかけることなのね」と言った言葉に、「私は迷惑をかけない。自分の個人的な事を人間の全部の事のようにとらえないでくれ」(一字一句同じではありませんがこんな趣旨の言葉でした)とセンセイは返します。聞いていて「これは言われた方はキツイなぁ」と思いました。関わりを持つ事を拒否されたも同じです。
おそらく、孤独で愛を知らずそしてそれを自覚していなかったセンセイ。そして同じく孤独だったツキコさん。2人が再会して惹かれ合うのは必然だったのかもしれません。
ツキコさんには恋人がいましたが、その人はツキコさんとの恋愛に悩み、その事をツキコさんの友人に相談するうちにその友人と結ばれてしまいます。申し訳なさそうにしている友人に明るく振舞うツキコさん、「自分は恋愛に向いてない」といった旨の事を口にしますが、ツキコさんの孤独を一層感じて切ないです。
そんなツキコさんにアプローチする同級生、細見さん演じる小島孝さん。センセイと共に参加した、高校の恩師とOBが開催するお花見でツキコさんと再会した彼は、同級生と学生結婚の後に離婚したと語ります。
そしてお花見会場でセンセイを美術の女性教師・石野先生に取られてしまったような形になって、内心面白くないツキコさんの心を察したのか下心がそもそもあったのか、彼はツキコさんを連れ出し行きつけのバーへ誘い口説きます。ツキコさんを口説く小島さんはとっても色っぽくて素敵でした!
いつもセンセイとは次に会う約束などはしておらず、すれ違ってしまっていた事もあってツキコさんは小島さんと会うようになります。が、やはり彼女が想うのはセンセイの事。一見、軽い雰囲気の男性に見える小島さんですが、ツキコさんに対する気持ちは真摯なものだったと思います。ちゃんとツキコさんの事を見ているから。けれど、小島さんといる時のツキコさんはセンセイといる時ほど活き活きとしていません。
彼女は自分を「子どもだ」と言います。そんなツキコさんと、行きつけのバーを持ち大人の強引さを持つ小島さんとでは、結ばれる事は叶わないのだろうなと感じました。
そして、この一連のシーンに登場した石野先生と小島孝さんは、ツキコさんのセンセイへの気持ちを確固たるものにしたのだと思います。
終盤、自分の恋心を自覚したセンセイが吐露した想いと、それに対するツキコさんの悲痛な叫びに涙が滲みました。不器用なセンセイと一途なツキコさん。静かで、でもとても深く強い愛情を感じました。
ラストシーンは切なくも温かくて、センセイはいつまでもツキコさんの側にいると感じさせてくれました。
帰り際に紀伊国屋で原作小説を買ってきました。
生演奏のチェロとアコーディオン、パーカッションの演奏を思い返しながら、またゆっくりとこの物語に浸りたいと思います。
30才余りの年の差を越えた老齢のセンセイと教え子ツキコさんとの淡々とした恋。
川上弘美さんの原作小説で、センセイ役は沢田研二さん、ツキコ役は富田靖子さんです。
昨年演劇集団キャラメルボックスを退団された細見大輔さんも出演されています。
(私のお目当ては細見さんでした^^)
ツキコのモノローグの後、朗々と歌う沢田研二さん。歌詞がとっても切なくてジーンとします。
そしてとっても素敵な歌声に惚れ惚れでした。ザ・タイガースの頃や、その後ソロで活躍された時代を知らないのですが、今日の歌声を聴いて、「もっと数年早く生まれたかった!」なんて思いました。
赤提灯のさがった居酒屋で、たまたま再会したセンセイとツキコさん。何度か居酒屋で顔を合わせ言葉を交わす2人の間の空気が、お互いを尊重し敬意を払いつつもゆっくりゆっくり近付いていく様や、下町を思わせる雰囲気がどこか懐かしく、心和みます。
国語の教師らしい教養と落ち着きに満ちたセンセイの所作が魅力的で、可愛らしい子どもっぽさを残すツキコさんとのやり取りにも和みます。
センセイの「ツキコさん」と呼ぶ声が、だんだんと愛しさが込められたものになっていくのにジーンとなりました。
印象に残ったのは、かつての妻の話をした時の先生の言葉です。
妻は自由奔放で奇抜な行動をとる人だったと語るセンセイ。彼女の行動が招いた騒動の後、センセイに叱られてしゅんとなった彼女が、「人が生きていくことって、誰かに迷惑をかけることなのね」と言った言葉に、「私は迷惑をかけない。自分の個人的な事を人間の全部の事のようにとらえないでくれ」(一字一句同じではありませんがこんな趣旨の言葉でした)とセンセイは返します。聞いていて「これは言われた方はキツイなぁ」と思いました。関わりを持つ事を拒否されたも同じです。
おそらく、孤独で愛を知らずそしてそれを自覚していなかったセンセイ。そして同じく孤独だったツキコさん。2人が再会して惹かれ合うのは必然だったのかもしれません。
ツキコさんには恋人がいましたが、その人はツキコさんとの恋愛に悩み、その事をツキコさんの友人に相談するうちにその友人と結ばれてしまいます。申し訳なさそうにしている友人に明るく振舞うツキコさん、「自分は恋愛に向いてない」といった旨の事を口にしますが、ツキコさんの孤独を一層感じて切ないです。
そんなツキコさんにアプローチする同級生、細見さん演じる小島孝さん。センセイと共に参加した、高校の恩師とOBが開催するお花見でツキコさんと再会した彼は、同級生と学生結婚の後に離婚したと語ります。
そしてお花見会場でセンセイを美術の女性教師・石野先生に取られてしまったような形になって、内心面白くないツキコさんの心を察したのか下心がそもそもあったのか、彼はツキコさんを連れ出し行きつけのバーへ誘い口説きます。ツキコさんを口説く小島さんはとっても色っぽくて素敵でした!
いつもセンセイとは次に会う約束などはしておらず、すれ違ってしまっていた事もあってツキコさんは小島さんと会うようになります。が、やはり彼女が想うのはセンセイの事。一見、軽い雰囲気の男性に見える小島さんですが、ツキコさんに対する気持ちは真摯なものだったと思います。ちゃんとツキコさんの事を見ているから。けれど、小島さんといる時のツキコさんはセンセイといる時ほど活き活きとしていません。
彼女は自分を「子どもだ」と言います。そんなツキコさんと、行きつけのバーを持ち大人の強引さを持つ小島さんとでは、結ばれる事は叶わないのだろうなと感じました。
そして、この一連のシーンに登場した石野先生と小島孝さんは、ツキコさんのセンセイへの気持ちを確固たるものにしたのだと思います。
終盤、自分の恋心を自覚したセンセイが吐露した想いと、それに対するツキコさんの悲痛な叫びに涙が滲みました。不器用なセンセイと一途なツキコさん。静かで、でもとても深く強い愛情を感じました。
ラストシーンは切なくも温かくて、センセイはいつまでもツキコさんの側にいると感じさせてくれました。
帰り際に紀伊国屋で原作小説を買ってきました。
生演奏のチェロとアコーディオン、パーカッションの演奏を思い返しながら、またゆっくりとこの物語に浸りたいと思います。
舞台観劇できてうらやましいな!
福岡でも、上演されないかな?
by ひろみ (2010-04-02 11:23)
>ひろみさん
コメントありがとうございます^^
生の舞台はいいですね♪
この公演は東京と神戸で上演するそうです。
by リュカ (2010-04-03 21:23)
ジュリー(沢田研二さん)、以前新聞とTVで久しぶりに見て、歌声は変わらずかっこよかったです!
舞台、やっていたんですね。
ジュリー世代の僕は、憧れていました。
by ふじたまworld (2010-04-04 08:11)
>ふじたまworldさん
年を経ても変わらない歌声、素敵ですね~!
とってもかっこよかったです^^
by リュカ (2010-04-05 21:49)
私もセンセイと奥さんの山でのやりとり。
「迷惑をかけて生きている」「僕は誰にも迷惑をかけてない」
あそこは胸にぐさっと来ました。
生きていれば、そこら中の人に迷惑かけてるのが普通。
近しい人ならば、もっともっと、迷惑かけてるのが当然。
なのに全否定されて、あのシーンの奥さんの表情辛かったなぁ。
でもほんと、ジュリーの歌声は素敵でしたねっ!
ジュリー大ファンの母を誘って行くんだった、と後悔してます(笑)
by ぷりん (2010-04-06 12:26)
あー、ジュリーだ!
私はソロの世代なので懐かしいです。
私もソネブロに移転してきましたよ。
これからもよろしう。
by 駅馬車 (2010-04-07 15:38)
>ぷりんさん
あのシーンは本当ずきんとしますね。
誰にも迷惑かけずに生きてる人なんていないですし、そこに愛があるはずなのにセンセイは……。
あの時の奥さんの表情、辛いですね。
墓参りのシーンでも、「僕があなたに何をしたんですか!」ってセンセイの言葉に、「何も。」って答えた奥さんの声がまた辛かったです:;
ジュリーの歌声、素敵でしたね!
昔からのファンの方なら尚感動でしょうね^^
>駅馬車さん
ソロの頃をご存知ですか~。羨ましいです^^
動画サイトで昔のジュリーを検索してみましたが、本当かっこいいですね。還暦を迎えてもほぼ変わらない歌声に聞き惚れました^^
ソネブロに移転したんですね。
どうぞよろしくお願いします♪
by リュカ (2010-04-07 20:47)