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キャラメルボックスチャレンジシアター『僕の大好きなぺリクリーズ』 [観劇]

キャラメルボックスのチャレンジシアター『僕の大好きなぺリクリーズ』、昨日の14時の回を観てきました!
『ぺリクリーズ』はw・シェイクスピアによって400年程前に書かれた戯曲です。題名の「僕」とは、脚本・演出を手掛ける成井豊さんの事、キャラメルボックスがシェイクスピアを上演するのは初めての事だそうで、「この作品をキャラメルボックスで上演したい」という成井さんの17年越しの想いが込められています。

中世の老詩人・ガワーが蘇って語る、古代における悲劇と再生に彩られた家族の絆の物語。
時は紀元前3世紀。シリアの美しい都・アンティオケの王女は絶世の美女と評判で、彼女を妻に迎えんと近隣諸国から多くの者が求婚に訪れていた。しかし、王女を妻にするには、父・アンタイオカス王が作った謎を解かなければならない。そして、解けなかった者は即刻斬首。 小国ツロの若き王・ペリクリーズは死を恐れずその謎に挑戦し、見事に答えを見つけ出す。だが、それはアンタイオカス王の権威を揺るがす王の秘密を示していた。その内容に衝撃を受けたペリクリーズは答えを口にできず、答えを迫る王から逃れ王宮を去った。ぺリクリーズが真相に気付いた事を察した王は、ペリクリーズを殺害するため刺客を送り、ペリクリーズは艦隊を組んでサーサスへ逃れる……。

長くなるのとネタバレ含みますので続きます。(あらすじ続き)
飢饉に喘いでいたサーサスを、ぺリクリーズは船に積んだ食料で救い、その代わりにサーサスへの滞在許可を求める。しばらく安泰な日々が続くが、ツロの留守を預かるヘリケイナスからペリクリーズに刺客が迫っているとの手紙が届き、サーサスを去り再び船を出す。だが航海の途中大嵐に見舞われ船は難破、ペリクリーズは海を漂った末、海岸に打ち上げらた所を漁師に助けられる。同じ浜に自分の鎧が流れ着いていたのを見つけ、まだ自らの運は尽きていないと、宮廷で開かれる槍の試合に出る決意をする。王の御前で槍の演舞を舞ったぺリクリーズは、王サイモニディーズと王女セイザを魅了した。王女に惹かれたペリクリーズは王女と結婚する事になる。しばらくして、ヘリケイナスからの手紙により、アンタイオカス王と王女が亡くなり身の危険は去った事、ツロの国民たちが王の帰還を望んでいる事を知り、ぺリクリーズは身重のセイザを連れ帰国の船旅に出る。航海の途中、船は再び嵐に襲われ、荒れ狂う船上でセイザは女の子を出産するが、そのまま息を引き取ってしまう。「船上に屍があるかぎり嵐は治まらない」という船乗りの迷信から、ぺリクリーズは涙ながらに妻の棺を海に葬った。この棺は海岸に流れ着き、医師のセリモンに拾われる。セリモンが蓋を開けると、セイザにはまだ息があった。セリモンの治療によって息を吹き返したセイザは「もう二度とぺリクリーズに会う事が叶わないのなら……」と、月の女神ダイアナを祭る神殿で巫女として一生を終える事を決意する。
一方、最愛の妻を失い悲嘆にくれるぺリクリーズは、船上で生まれた娘にマリーナと名付ける。幼いマリーナを故国まで連れ帰るのは無理と判断し、かつて世話になったサーサスのクリーオン夫婦に託した。
そして14年の歳月が流れる。クリーオン夫婦に育てられたマリーナは歌、楽器、刺繍その他あらゆる教養を身につけ、清らかな美しさで衆目を集める。マリーナがいては自分の娘が見劣りすると、クリーオンの妻ダイオナイザは召使いに命じ、マリーナを殺害しようとする。人気の無い海岸で、刃がマリーナに迫った時、海賊に襲われマリーナの命は助かるが、ミティリーニの売春宿に売り飛ばされてしまう。クリーオン夫妻は、娘を迎えに来たぺリクリーズに「マリーナは病死した」と偽った。娘の墓を見せられたぺリクリーズは悲しみに沈み生ける屍となってしまう。
その頃、美しいマリーナは評判を呼び多くの客がやって来るが、来る客ごとに説教するため女将は困り果てていた。そこに太守ライシマカスがやってくる。マリーナの毅然とした物言いと清らかな魂にライシマカスは感動し、金貨を恵む。マリーナはその金貨で売春宿を抜ける事に成功、人々に歌や踊りを教えて暮らす事になる。
そしてぺリクリーズは魂の抜け殻となったまま、ヘリケイナスと共にミティリーニに立ち寄った。娘を失った悲しみで深く心を閉ざしているぺリクリーズの事を聞き、その心を慰めようとライシマカスはマリーナを呼び寄せぺリクリーズの前で歌を歌わせる。涼やかな歌声と話しぶり、そして妻に似た顔立ちのマリーナに、ぺリクリーズは心惹かれ立ち上がる……。

まとめ下手であらすじが随分長くなってしまいました(汗)

膨大な台詞と難しい言い回しのシェイクスピア劇ですが、挿入される解説も手伝ってすんなりと入り込めました。
数奇な運命を背負った主人公・ぺリクリーズの、運命に翻弄されながらも立ち上がり生きる姿に胸を打たれます。主役を演じた左東広之さんの迫真の演技に感動しました。かっこよかったです!
そして、国を救った恩人であるぺリクリーズを、我が子を想うあまりに裏切るダイオナイザを演じた伊藤ひろみさんの変貌ぶりに鳥肌が立ちました。ベテランさんの演技ってなんて凄いんでしょう! 方向は間違っているものの、我が子を大事に想うあまりの行動であって、これもまた「人が人を想う気持ち」には違いないんだよなぁと思います。悲しい姿ではありますが……。
それぞれの人々が愛しい人の為に、自分が生きる為に、時にその手を罪に染めてさえも、生きる姿に惹き付けられました。

運命に愛しい人と引き裂かれても、命があれば、そして絶望しない強い心と、他人への愛情、穢れない勇気を持っていれば、絆が切れる事はないんだと感じました。家族の絆って強いんですね。
そして罪には罰が、愛には愛が自分の身に返って来る、人間が生きる上で普遍の事であって、この物語が400年経っても褪せる事無く語り継がれる理由がわかる気がします。


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kunik

はじめまして。
ブログにコメントありがとうございます。
キャラメルさんには感謝でいっぱいです。
どの作品もとてもよいです。
by kunik (2008-09-19 16:47) 

リュカ

こんばんは^^
ご訪問ありがとうございます。
キャラメルさんの舞台ってどれもとても素敵ですよね^^
by リュカ (2008-09-19 23:28) 

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