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演劇集団キャラメルボックス25th『シラノ・ド・ベルジュラック』 成井豊の世界名作劇場 [観劇]

6日の夜に演劇集団キャラメルボックスの公演『シラノ・ド・ベルジュラック』を観てきました。
(ややネタバレあり注意)

1640年のパリ。
ガスコン青年隊のシラノ・ド・ベルジュラックは、剣士であると同時に詩人でもあり理学者でもある、男の中の男。
ただ一つの欠点は、生まれながらの巨大な鼻で、従妹のロクサーヌに恋い焦がれながらも、自分のような醜い男が愛されるわけないと諦めている。
ある日、青年隊にクリスチャンという男が入隊してくる。クリスチャンはロクサーヌに一目惚れして、シラノに仲介を頼んでくる。
シラノは恋文の代筆を引き受け、ロクサーヌに寄せる熱い想いを、思う存分書き殴る。
そして……。
(公式サイトより)


前説が始まる前の舞台が面白いです。
まるで舞台上に巨大な鏡が置かれているかのよう。

この作品は、1897年に初演されたエドモン・ロスタンという劇作家が書いた戯曲で、主人公・シラノは実在の人物だそうです。
古典劇なのでやはり台詞が難しく、何が起きているのかとか登場人物の関係を把握するのに時間がかかってしまいました。けれど把握できると俄然面白くなってきます。
私が何より惹かれたのは苦悩するクリスチャンでした。
愛を語る言葉を持たないクリスチャンと、女性に好かれる美しい容姿を持たないシラノ。恋文の代筆をするシラノは自分の想いのままにロクサーヌへの愛を語ります。それはあくまでも詩人として綴ったのだのだと言い張るシラノですが、クリスチャンはそこに込められた想いが本物だと気付き、そしてロクサーヌは「美しい言葉を語るクリスチャンは、容姿だけでなく魂も美しい」と信じ惚れ込みます。
無事結ばれた2人ですが、「あの言葉は自分の言葉ではない。本当に愛されているのは自分自身なのか?」と苦しむクリスチャンが切ないです。そしてロクサーヌは、苦悩するクリスチャンを前に「今はあなたの容姿ではなく、美しいその心を愛している」と告げてしまいます。絶望するクリスチャンに、「愛されているのはお前だ」と懸命に言うシラノの姿もまた切なくて胸が痛みました。
何も知らずにはしゃぐロクサーヌの天然ぶりにちょっとイラッとしてしまいました。
余談ですが、そんなロクサーヌを見ていて『タッチ』の浅倉南を思い出したのは私だけでしょうか。才女でモテる、そして男達の苦悩に何も気付かない辺り似ている気がします。

歌あり演奏ありでこれも楽しいです。
これまでにも劇中で歌や楽器が演奏された事はありますが、ここまでがっつり取り入れてるのは初めてじゃないでしょうか?
歌や楽器の上手い芸達者な役者さんも多く、プロの歌手に負けない歌声と演奏に魅了されました。

コンプレックスを抱えながらも、ユーモアと男気に溢れ、多くの人に慕われ、後ろ盾を持つ事を望まず心のままに生きたシラノ。
彼の生き様が詰まったラストシーンは胸が熱くなります。

愛って何だろう、人の美しさって何だろう、色々考えさせられます。
笑いあり涙あり、とっても素敵な舞台でした。
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