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山崎まさよし主演 『8月のクリスマス』  [映画:DVD]

韓国映画のリメイク作品で、『月とキャベツ』以来8年ぶりの山崎まさよしさんの主演作です。

父から受け継いだ小さな写真スタジオを営む寿俊。彼は病に冒されており、余命幾ばくも無い状況に置かれていた。寿俊は静かに自らの死を受け入れ、誰も自分の人生に巻き込む事無く、穏やかに日々を送っていた。そんな夏のある日、町の小学校の臨時教員を務める高橋由紀子が店にやってくる。由紀子は何度か店を訪れる内に、穏やかで優しい寿俊に心を開き「オジサン」と呼んで慕い惹かれるようになる。寿俊は由紀子の懸命な仕事ぶりやくるくると変わる表情に惹かれていく。「誰も好きにならない」と決め、恋に消極的な寿俊にとって、由紀子との交流は寿俊の残された僅かな人生に生きる喜びと安らぎを与えていた。
やがて由紀子の転任が決まり、その事を伝える手紙を書いた由紀子だったが、その頃寿俊は救急車で病院に運ばれていて……。

大人の女性らしい芯の強さと少女らしい繊細さを持ち合わせた由紀子の、エネルギー溢れる姿が魅力的でした。
自分の運命を受け入れ淡々と生きる寿俊が、心を開いて由紀子に惹かれながら、「自分はもうじき死んでしまうのだから、好きになってはいけない」という思いの間で揺れる悲しく辛そうな表情に胸が痛みます。
友人の亮二と飲みに行って酔いに任せ「俺はもうじき死ぬんだ!」と冗談めかして叫んだシーンが悲しくてうるうるしました。
過剰に感動させようという演出はあまり無く、台詞も少なめで、表情や仕草で魅せる優しさや希望、葛藤に静かに心を揺さぶられました。大きな感動というよりも、じんわりと温かく切なくて涙が滲みます。
この手のお話はやろうと思えばいくらでもあざとく盛り上げる事が出来ますが、敢えてそうした演出を抑えてある事でよけいに切なさがこみ上げてきます。
終盤、由紀子が寿俊からの手紙を読むシーンにはずっと抑えていた寿俊の由紀子への想いが溢れていて、避けられなかった寿俊の運命と、寿俊の優しさや強い愛情に涙が零れました。
寿俊の病の事を、彼がいなくなってしまって初めて知った由紀子ですが、深く想われていた事を知る事が出来た彼女は寿俊の願い通り、強く幸せに生きていけるだろうなと思います。

生き続ける人死にゆく人、人が愛し愛される中で避けられない別れの形ですが、たとえ死が愛し合う人を離れ離れにしたとても、想いは記憶に残って生き続ける人を支えていくものなんだと感じました。

原作の方は観ていませんが、こちらもいい作品だと聞いたので観てみたいと思います。


8月のクリスマス スタンダード・エディション [DVD]

8月のクリスマス スタンダード・エディション [DVD]

  • 出版社/メーカー: キングレコード
  • メディア: DVD



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コメント 4

ふじたまworld

はじめまして。

文章読んでいたら、原作、読んでみたくなりました。
映画化された作品は、たまに原作を裏切る形になったりしますが・・・。



by ふじたまworld (2008-12-09 15:02) 

リュカ

はじめまして。
そう言って頂けると嬉しいです*^^*
原作がある作品の映画化は難しいですよねぇ……。
by リュカ (2008-12-09 22:46) 

ふじたまworld

原作を読み、映画を見てがっくり(ちょっと失礼かもしれませんが・・・。)したのは、結構楽しみにしていた「ダヴィンチコード」です・・・。

マニアックいっぽ手前のような感じが原作ではしていましたが、映画は・・・。

ノルウェイも森も、どうなるのか・・・。
楽しみなような、不安なようなです。
by ふじたまworld (2008-12-11 19:22) 

リュカ

やっぱりそういうのってありますよね……。
キャスティングのイメージ違いは仕方ないとしても、ストーリーのイメージが違うとショックですよね。
私の場合、東野圭吾さんの作品に映像化でがっかりが多いです。

ノルウェイの森、どうなるでしょうね。作品自体が複雑で深いですからね。
by リュカ (2008-12-12 22:32) 

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