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キャラメルボックス'07X'masツアー『トリツカレ男』 [演劇:DVD]

キャラメルボックスの'07年のクリスマスツアー『トリツカレ男』、いしいしんじさんの同名小説が原作になっています。

イタリアのある町のレストランでウェイターとして働くジュゼッペ。彼は何かに夢中になると寝食も忘れて没頭してしまう。ある時はオペラ、ある時は探偵、またある時は外国語、次から次へと色んなものに熱中し最近では三段跳びで世界新記録まで出してしまう。周りの仲間達はジュゼッペを「トリツカレ男」と呼び、仕事さえも忘れてしまうそのトリツカレ振りに呆れる者や心配する者、その情熱に惹かれる者もいた。
ある日、ジュゼッペはロシアから来た風船売りの少女・ペチカに恋をする。ふとしたきっかけからペチカと話をするようになったジュゼッペは、ペチカの笑顔の底に潜む悲しみを感じた。ジュゼッペは身に付けた知識や力でペチカの悲しみを取り除くべく奔走する。そして借金を解決し病気の母親を快方へ向かわせたが、まだペチカの悲しみは拭えない。ペチカの悲しみの最大の要因は、ロシアにいる恩師であり想い人・タタンからの連絡が途絶えた事だった。タタンの事を調べ、タタンが連絡を断った理由を知ったジュゼッペは……。

まず目を引くのは前半、劇中で行われるお祭り「仮面祭」のシーンです。繰り広げられるジャグリングやアクロバットは全て役者さん達が演じていて、息の合った技の数々とミステリアスな音楽、薄明るい幻想的な照明がとても美しいシーンでした。

ジュゼッペが取った行動は全てペチカの本当の笑顔を取り戻したいという想いだけです。見返りも何も求めない、純粋なその想いに心打たれると同時にもどかしくもなりました。「それでいいの?」と。ペチカは始めは何一つ気付きません。あまりにも報われないジュゼッペの行動に、彼のペットのハツカネズミ・トトや幼馴染のイザベラ、姉のアンナがそれぞれに心配する姿に自分の感情が重なり胸が痛くなります。ペチカの幸せを想っての行動なのですが、ジュゼッペ自身の幸せを置き去りにしているようで、そして何も知らないペチカが嬉しそうに笑うのが辛かったです。後半、ついにはタタンをその身に宿らせたジュゼッペの身体は、タタンであろうとするあまりに無理をしてぼろぼろになっていってしまいます。高熱を出して衰弱しとても辛そうなのに、それでもどこか幸せそうなジュゼッペの表情にジーンとします。
終盤、ペチカは回復した母・オルガと共にロシアに帰る事になり、向かった駅でようやくジュゼッペの行動を知ります。その頃、誰もいないペチカの部屋に向かったジュゼッペは、本物のタタンと語り合います。「ペチカに何も残してやれなかった」と悔いるタタンの想いと自分の想いを背負って、ペチカの名を呼びながら2階の窓辺から梯子に捕まり背中向きに落ちていくジュゼッペの姿には涙、涙でした。そして駆けつけてきたペチカが落ちてくるジュゼッペを抱き止めたシーンは、ペチカの悲しみが完全に晴れた事とようやくジュゼッペの想いが報われた事を感じさせてくれた嬉しい瞬間でした。
ラストシーンはこれ以上ないくらいのハッピーエンドで、とても心温まる物語でした。

自分の事を置き去りにしてまでも愛しい人を救おうとするジュゼッペの想い、そんなジュゼッペを心配し怒るアンナやイザベラ、呆れながらも手を貸すトトや妹のビアンカ、それぞれの言葉に色んな種類の愛情が溢れていて胸を打たれました。
恋の力の偉大さや、人を想う純粋な気持ちが起こす奇跡を信じさせてくれる素敵な物語でした。
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ayupot

はじめまして!
先日はブログにご訪問ありがとうございました(´∀`)

最近は行ってないのですが、前はよくキャラメルの舞台
観にいきました。
いつ行ってもハズレなかったです。
最近はチケットがお高くなりましたよね・・・・
気軽にいかれない感じがして、少し残念です。
by ayupot (2008-11-03 08:15) 

リュカ

ayupotさんこんばんは^^

本当、キャラメルの舞台はハズレが無いですよね。
冬の公演も観に行きますが、やっぱりチケット代高いですよね><交通費等もかかりますし、もう少し気軽に行けるようにしてほしい所ですね……。
by リュカ (2008-11-03 18:44) 

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