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童話『星の王子さま』 [小説]

フランスのサン=テグジュベリによって書かれた童話です。出版から60年以上経った今でも世界各国で読み継がれています。

飛行機の故障でサハラ砂漠の真ん中に不時着した「僕」は、たった一人で飛行機の修理をしていた。その最中、「ヒツジの絵を描いて」と声をかけられ仰天する。人里から1000マイルも離れたこの場所で、突拍子も無い事を言ってきたのはマントを羽織った小柄な少年だったからだ。少年は家一軒よりも少しだけ大きな星を有する王子さま。故郷の星を捨てて旅に出たらしい王子さまと接するうちに、僕は王子さまをとても好きになっていく。

子どもの頃にも読んだんですが、その時には今ひとつ意味がわからなかった覚えがあります。大人になって読み返してみて、「この物語は大人こそが読むべきなのかもしれない」と思いました。作中に登場する「物事の素晴らしさを数字や目に見えるものでしか判断できない大人」の滑稽さがわかるというのは、私自身そんな大人になっている事の証のように思います。いけないいけない^^;

王子さまの星にはある日1輪のバラが咲きました。バラはとっても気高く気まぐれで王子さまを振り回します。王子さまは我が儘なバラに少しうんざりしてしまいます。けれど王子さまがバラを置いて旅に出た時、バラは「あなたを愛してたのよ」と素直になれなかった自分を悔やみ、王子さまは置いてきてしまったバラがとても心配になります。我が儘を言う事や、気まぐれを言ったり困らせる事は、バラの愛情の裏返しだった事に気付いた王子さまの悲しみは胸に刺さってきます。そして故郷の1輪のバラと地球で見たたくさんのバラは、見た目は良く似ているけどまったく違うものだと、自分にとって大切なのはただのバラではなくて「僕が水をやったりした気まぐれな僕のバラ」なんだという事に気付いた王子さまの「だって彼女は僕のバラだもの」という言葉は、王子さまの強い愛情を感じて心を打たれます。
そして砂漠で出会い絆を育んだ王子さまと僕に訪れる別れ。故郷の星に帰る王子さまは僕にかけがえの無い友情の証として、自分が笑って暮らしている星を含む全ての星を僕に贈ります。どれが王子さまの住む星かなんて特定する事に意味は無くて、星空を見れば全ての星が友達になる、なんて素敵な発想なんだろうと感じました。

地球で王子さまが仲良くなった狐が教えてくれた秘密、「いちばんたいせつなことは、目に見えない。」かんたんだけどとても大切なこの秘密は、この世界で生きていく上で誰もが知っておかなければいけない事だと思います。我が儘を言ったり困らせたりするのは、愛情があるからこそなのでしょう。関わりを持ち絆を育てた間柄にはかけがえの無い愛情が生まれます。時にそれは衝突したり疎ましくなったりもするけれど、心の奥底が繋がっている事の証であって、関係の終わりを示すものではないのだと思いました。
「愛情」や「好き」の反対語は「憎悪」「嫌い」ではなく、「無関心」なのだと思います。


星の王子さま (新潮文庫)

星の王子さま (新潮文庫)

  • 作者: サン=テグジュペリ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2006/03
  • メディア: 文庫



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コメント 4

AYA*n

おひさしぶりです^^
『星の王子様』大好きです。

>「いちばんたいせつなことは、目に見えない。」
いつも心に刻んでいようと思ってます。
by AYA*n (2008-08-02 21:06) 

リュカ

こんばんは^^
『星の王子様』素敵なお話ですよね♪

目には見えないけどたいせつなことを、見失わないようにしたいですね。
by リュカ (2008-08-02 22:09) 

きむたこ

きむたこも大好きな1冊です。
何度も読んで、ボロボロになって買い直したくらい。(笑
ほんとは原書で読めたらいいんだけどなぁ・・・。
星の王子様を読んでからバオバブの木を見たくって、
その願いが叶った時は、とっても嬉しかったです。
by きむたこ (2008-08-03 20:35) 

リュカ

きむたこさん、こんばんは^^
ホント何度も読み返したくなるお話ですね^^原書で読めたらもっと素敵でしょうねぇ。
私はバオバブの木ってまだ見たことないんです。羨ましいです!
by リュカ (2008-08-03 21:04) 

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