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手塚治虫原作 映画『メトロポリス』 [映画:DVD]

手塚治虫の同名原作漫画をりんたろう監督と大友克弘さんの脚本で映画化した作品です。
原作は『鉄腕アトム』よりも前に描かれたそうで、原作漫画は未読ですが映画とは大きく内容が異なるようです。

人とロボットが共存する大都市・メトロポリス。主人公のケンイチ少年と私立探偵である叔父の伴俊作(通称ヒゲオヤジ)は、生きた人間の身体を使った人造人間製造疑惑で国際指名手配されているロートン博士を追ってやってくる。
超高層ビル・ジグラットがそびえ立つメトロポリスは、人とロボットとの共存とは名ばかりで、人に酷使され使い捨てられるロボットが溢れ、またロボットに職を奪われた人間達は都市の地下に押し込められロボットを憎悪していた。一方では人と同じように動くロボットに人と同等の人権を求める団体があり、ロボットを弾圧する組織と対立している。大統領の影で都市を支配するレッド公を中心に、メトロポリスはロボットを巡るさまざまな確執に溢れていた。
ケンイチとヒゲオヤジはロートン博士が潜んでいると思われる地下都市部へ潜入する。そこでロートンの研究所を見つけるが、研究所は原因不明の火災が起き炎に包まれていた。突入したケンイチは中で逃げ遅れていた少女を助ける。ティマと名乗った彼女を連れてケンイチは地下都市から脱出する。記憶の無いティマは助けてくれたケンイチを慕いケンイチもティマに惹かれるが、ロボット弾圧の過激派組織の総帥・ロックに狙われる事になる。養父であるレッド公を異常なまでに敬愛するロックは、レッド公の亡き娘にそっくりのティマを憎む。レッド公の野望のもとに作られた「超人」に組み込まれる機械として作られたティマ。自分を人間だと信じるティマを、ロックは追い詰める。真相を知ったティマは自ら超人に接触し人間を憎悪し、全てを破壊する怪物と化した。人間全てを憎悪するティマは、助けに来たケンイチにも襲い掛かる―

人間ってどこまで欲深く残酷なのだろうと感じます。科学の発達は必ずしも幸せをもたらすものではないようです。
人間のエゴで作られ、利用されるだけの存在であるロボット達、そして最後まで「私は誰?」と問い続けたティマが哀れでなりません。ティマが変貌した後も、ケンイチと彼を取り巻くロボットはティマを「友達」と言うのが唯一の救いですが、彼らの想いはティマに届いていないようで胸が痛みます。助けに来たケンイチの手を振り払い、超高層ビルから転落していったティマは自分の存在を否定してしまったのでしょう。自分のような存在が今後作られる事のないように願っていたようにも感じます。
そしてレッド公が執着を見せるティマを憎むロック。ティマに「お前が人間だと言うならお前の親は誰だ?」と問うロックは、養父に愛されたいという願いをロボット弾圧という行為でしか形に出来なかった悲しい少年なのだと思います。レッド公はロックを「拾っただけ」と切り捨てる。人間の手に負えないほど膨れ上がった科学技術や野望の犠牲になるのは、力無い子供たちなんですね……。

機械と人間が本当の意味で共存する事は、果たして可能なのでしょうか。


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  • 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
  • メディア: DVD



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駅馬車

手塚作品は結構読んでいますけど、これは知らないですね。
メトロポリスというと世界初のロボット映画のあれを思い出しますけど、内容は近いですね。
手塚治虫って案外あちこちの映画の影響を受けているので、これもそうなのかも知れませんね。
by 駅馬車 (2008-07-01 04:49) 

リュカ

駅馬車さん、こんばんは^^
そうそう、同名のロボット映画がありますね。ドイツの映画でしたっけ。女性ロボットが生まれるシーンが印象的でした。執筆のヒントになったのかもしれませんね。
ちなみに神田の古書店でこの漫画の発行当時のものが90万円だったかな?で売られているそうです^^;
by リュカ (2008-07-01 20:27) 

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