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小説『青のフェルマータ』 村山由佳 [小説]

あまり恋愛小説は読まないのですが、村山由佳さんの書かれる恋愛はとてもナチュラルでスッと入っていけます。

両親の不和、そして離婚。自分のせいだと自身を責める19歳の里緒は言葉を失った。治療の為に訪れたオーストラリアの島。イルカの研究施設で、イルカの世話を手伝いながら暮らす里緒。里緒を取り巻く人々。研究施設のアレックスとダグ。難病にかかり引退した老ソリストJ・B。里緒を敵視するJ・Bの娘フィオナ。島の権力者の息子で複雑な生い立ちを持つ凶暴な青年ゲイリー。里緒は穏やかで賢者のようなJ・Bに心惹かれつつも、ゲイリーとも惹かれ合い……。それぞれ心に傷を負った純粋な人々が織り成す物語。

オーストラリアの青い空と海と、チェロを弾く里緒にJ・Bが送った曲「フェルマータ・イン・ブルー」の旋律が行間から感じられるようでした。この物語で、心の傷を癒してくれる存在はイルカだけではありません。自らも傷つきながら、それでも大切な人が傷ついているのを助けようと行動する登場人物達。人を癒すのは、最終的には人なのではないかと思います。
-「人間というのは、生きていくうちには必ず誰かを傷つけてしまう生き物なんだ。それを自分に認めてやらなければ、足がすくんで一歩も動けなくなってしまうじゃないか。」-
周りの人々を傷つけている事で自分を責め続ける里緒に、J・Bがかけた言葉です。じーんとして涙が止まりませんでした。


青のフェルマータ Fermata in Blue (集英社文庫)

青のフェルマータ Fermata in Blue (集英社文庫)

  • 作者: 村山 由佳
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2000/01/20
  • メディア: 文庫



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