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小説『1Q84』 村上春樹 [小説]

先月第3巻が発売され話題になっている村上春樹さんの最新作です。

1984年。
スポーツジムのインストラクターをしている青豆は、ある"普通でない"体験から、月が2つ浮かぶ世界へ移動してしまう。少しずつ歴史が変更されたその世界を青豆は「1Q84年」と名付ける。
同じ頃、作家志望の天吾は、懇意にしている編集者から新人賞に応募された原稿の書き直しを半ば強引に依頼される。その原稿『空気さなぎ』の作者である深田絵里子の同意を得て、天吾は原稿のリライトを手掛ける。見事に新人賞を受賞した『空気さなぎ』―リトル・ピープルなるものが暗躍し、月が2つ浮かぶ世界の物語―はベストセラーとなる。その後、天吾はいくつかの奇妙な事態に遭遇し、そして空に月が2つ浮かんでいる事に気づく。
互いに孤独な子ども時代を過ごした青豆と天吾。2人が「1Q84年」の世界で見るものは。20年前にほんの僅かな時を共に過ごし、秘かに互いを求め合った2人は、この世界で出会う事が出来るのか。

大雑把にあらすじを書いてみましたが、語れば語るほど見当違いの方向へ行ってしまうような気がします。
そこかしこに散りばめられた春樹さんらしい言い回しや人物描写、台詞が相変わらず魅力的です。
謎めいた教団「さきがけ」と1Q84年の世界に実在するリトル・ピープルの関係とその目的、リトル・ピープルの物語を書いた深田絵里子の神秘的な存在感、追うものと追われるものの緊迫感、心に闇を抱えた孤独な人々、どれも物語にそれぞれの色を添えこの世界に惹き込んでいきます。
まだ一度しか読み通していませんが、おそらく何度読み返してもその度に違った色合いが見えてくるのではないかと思います。

「説明されなきゃわからんという事は、どれだけ説明されてもわからんという事だ。」
作中で天吾の父親が天吾に対して言い放った言葉です。
明かしきれていない謎もあったり、新たな謎が見えたまま結末を迎えていたりしますが、この台詞が示すとおり、謎のままになった事柄はどれだけ作者が言葉を重ねても、その真意は量れないものなのかもしれないと思います。説明されてもまたそこに説明を求める堂々巡りになるのではないでしょうか。
結末で見えた新たな謎。それは決して重苦しいものやもやもやした読後感を残すものではなく、明るく満ち足りた余韻を残しています。

印象的な登場人物や台詞の数々、謎めいた物語にまた浸り続けたいです。

この物語の前日譚である「BOOK 0」発売の噂を聞いたのですが本当に出るのでしょうかね。
「BOOK 1」が4月で始まり「BOOK 3」が12月で終わっていて、1~3月が無いですし有り得なくはないかもしれません。


1Q84 BOOK 1

1Q84 BOOK 1

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2009/05/29
  • メディア: ハードカバー



1Q84 BOOK 2

1Q84 BOOK 2

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2009/05/29
  • メディア: ハードカバー



1Q84 BOOK 3

1Q84 BOOK 3

  • 作者: 村上春樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/04/16
  • メディア: 単行本



nice!(7)  コメント(5) 

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コメント 5

まるちゃん

初めまして!!
ボトメを拾い訪問しました
私も本買いました
まだ、時間がなくて読んでませんので楽しみです
良かったら私のブログにも遊びにきて下さいね
by まるちゃん (2010-05-11 00:24) 

ふじたまworld

村上春樹さん大好きな作家の一人なので、是非読みたいのですが、我が家の本棚がキュウキュウなので、かみさんに止められてます(涙)
(かみさんも、村上春樹さんは、大好きで、気になっているハズなのですが・・・)

1Q84 BOOK 0・・・、初耳です!
リュカさんのブログ見たら、かみさんに内緒で購入してしまおうか・・・、迷ってしまいます(涙)
by ふじたまworld (2010-05-11 12:52) 

リュカ

>まるちゃんさん
ボトメからの訪問ありがとうございます^^
『1Q84』は腰を据えて読む方がいいですよね^^
そちらへも伺わせて頂きますね^^

>ふじたまworldさん
うちも本溢れかえってます(;^_^A
が、村上春樹さんは外せません^^
面白かったですよ♪
「BOOK 0」気になりますよね^^
by リュカ (2010-05-13 10:56) 

駅馬車

なんだかよくわからない内容ですね(^^;
でもなんとなく期待できる感じ。
私はあまり小説は読まないのですが、これは話題になっているだけあって面白そうです。

by 駅馬車 (2010-05-13 13:34) 

リュカ

>駅馬車さん
ホント、自分でもあらすじ見返してみて「何だそりゃ」な感じになっております^^:
村上春樹さんは独特の世界観や描写から好き嫌いがはっきり分かれますが、好きな人にはぴったりはまる作品だと思います^^
by リュカ (2010-05-14 23:59) 

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