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少女漫画『BASARA』 田村由美 [漫画]

小学館の別冊少女コミックで、1990年から1998年まで連載された作品です。単行本は全27巻、文庫版は全16巻。第38回小学館漫画賞を受賞しています。

20世紀末に高度文明が滅び、それから300年後の日本。世は京に都を置いた国王とその子供たちに支配され、人々は圧政に苦しんでいた。
山陰地方にある白虎の村に双子の兄妹が生まれる。タタラと更紗と名付けられた兄妹は、村の預言者・ナギにより「国を救う運命の子ども」と告げられた。兄・タタラは「運命の少年」として村人の期待を一身に背負って育つ一方、妹・更紗は自分の存在意義に悩んでいた。
運命の少年タタラや白虎の村人を反乱分子として、国王の末子・赤の王率いる軍が白虎の村を襲撃、タタラは殺害されてしまう。兄を殺された瞬間と村人達の絶望を目の当たりにした更紗は、村人をそして国を救うため自分がタタラだと名乗り立ち上がった。ナギ達に支えられ、赤の軍に奪われた宝刀・白虎を取り戻す事に成功した更紗は各地にある残りの宝刀、朱雀・青龍・玄武の刀とその継承者を求め革命軍として人々を率いていく。そして兄と父、村人達の仇である赤の王を追う旅の中で、更紗は朱理と名乗る青年と出会った。朱理は更紗の敵・赤の王。そして赤の王もまた従兄であり親友だった四道を討ったタタラを憎んでいた。互いの正体を知らずに惹かれ合い愛し合う2人に過酷な運命が襲い掛かる―

ここに書ききれない程の大勢のキャラクター達が織り成す生きる姿、戦う姿、愛する姿、そして死んでいく姿、少女漫画的な甘さの一切無い彼らの生き様に何度も涙しました。
運命の子どもという重圧を背負って戦う更紗の必死な姿、更紗を支える人達の優しく時に厳しい眼差し、革命の成就を願う人々の重みのある台詞、戦いの中で自分の存在意義を見つける人、苦しい暮らしや戦いの中で愛し合う人々、保身の為に暗躍する愚かで悲しい王家側の人々……。史実を織り込みながらしっかりと作られた世界観、深く練りこまれた壮大なストーリーと魅力的で多様な登場人物、そして宿敵同士と知らずに惹かれあう更紗と朱理がどうなってしまうのかと夢中になりどっぷりと惹きこまれました。
更紗と白虎の村の生き残り数名で立ち上がった革命軍は、各地の宝刀を探す内に次第に大きくなり国王を脅かす軍勢となります。剣の腕も立ち、強いカリスマ性を発揮する更紗ですが決して完璧な人物ではなく、15歳という年齢相応の弱さや脆さ、不器用さも持っていて、人々の期待を背負って悩み苦しみ、また何度も危機に陥っても必死に戦う姿に胸を打たれました。長い戦いの中で成長していく更紗の姿に自分も一緒に成長していけるような勇気をもらえます。

愛する事や生きる事、自己や命に真摯に向き合った作品です。
少女漫画ですが、男性にも是非お勧めしたいです。


BASARA (1) (小学館文庫)

BASARA (1) (小学館文庫)

  • 作者: 田村 由美
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2002/02
  • メディア: 文庫



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