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スピルバーグ監督作品 『A.I.』 [映画:DVD]

ハーレイ・ジョエル・オスメント君主演のスピルバーグ監督作品。ストーリー原案はキューブリック監督だそうです。

機械技術が発達しロボットが雑務や労働をこなす時代。ある会社が「愛情を持った人間そっくりの少年型ロボット」を作り上げる。インプットした人間を永遠に愛し続けるようプログラムされたロボット・ディビットは、社員のヘンリー宅に引き取られた。ヘンリーと妻のモニカには不治の病にかかった息子・マーティンがおり、治療法がみつかるまで冷凍保存されている。そんなマーティンの代わりとしてやってきたディビット。人間そっくりだが中身は機械、音も無く歩き、まばたきもせずひたすらにこにこと笑うディビット。そんな子を愛する事など出来ないとディビットを拒んでいたモニカだが、治る見込みの無いマーティンを前にやがて意を決してインプットに必要な言葉を唱える。たちまちディビットの表情は人間味を帯びたものになりモニカを「ママ」と呼び愛するが、モニカは素直にディビットを愛せない。そして諦めていたマーティンの治療法が奇跡的に見つかり、マーティンはモニカの元へ帰ってくる。ディビットを排除しようとするマーティン。やがてディビットはスーパートイのテディと共にモニカによって森に置き去りにされてしまう。ディビットは童話「ピノキオ」を知り人形のピノキオを人間に変えたブルーフェアリーを探す旅に出る。本当の人間になれば、モニカに愛されると信じて……。

母親に愛されたいと願い彷徨う少年。その一途な想いは、たとえプログラムされたものだとわかっていても胸を打ちます。いい作品です。……ここまでは。
森に置き去りにされたディビットは、ロボットに仕事を奪われロボットを憎む人間達に捕まります。そして大勢の観衆の前でロボットを破壊する「ロボット惨殺ショー」が行われるのですが、ロボットを徹底的に破壊するスプラッタのような描写と、破壊されたロボット達が自らの身体を修復すべく身体の残骸を装着するシーンは正視に堪える映像ではありませんでした。また、「物」と認識しているロボットはそれに意志があろうとお構いなしに破壊するくせに、人間そっくりのディビットが現れた途端、戸惑い躊躇う人間の身勝手さにも不快感を覚えました。
ショーから逃げ出したディビットはマンハッタンに向かいます。温暖化で水位が上がり水没した未来のマンハッタンで、自分と同じタイプのロボットが量産されている事を知りショックを受けたディビットは「ママ……。」と悲しげに呟き海に身を投げてしまいます。けれどディビットに死ぬ事は出来ません。絶望したディビットは海底でついにブルーフェアリーの像を見つけます。そして「Please, make me a real boy.」と一心不乱に願い続けるのです。先ほどの残虐なシーンを払拭してくれる、ディビットの悲痛な願いに心打たれました。
この後、物語は2000年後の世界に飛びます。人類は絶滅し地上には進化したロボットが暮らしていて、ディビットは彼らに発見されます。人類の記憶を持つディビットは彼らにとって貴重な存在。彼らはディビットの持っていたテディに残されたモニカの髪の毛からモニカのクローンを作りだします。クローンは1日しか生きられないという事を受け入れ、ディビットはモニカのクローンと幸福な時を過ごします。モニカに捨てられる時の、森までのドライブ。それがディビットにとって唯一の、母との楽しい思い出。幸せそうに微笑み眠りにつく2人の姿はかえって悲しいものに感じました。

ハーレイ・ジョエル・オスメント君の演技力が凄いです。インプットが行われるまでは本当にロボットのようで何だか怖いのですが、モニカをインプットしてからはがらっと雰囲気が変わります。「この子、天才だ!」と感じます。
色々とツッコミ所はあるのですが、中盤の「ロボット惨殺ショー」さえなければいい作品だと思います。個人的には、ディビットがブルーフェアリーの像に願い続ける所で終わる悲しい物語としてもいいんじゃないかと感じました。

追記
タイトルの「A.I」。Artificial Intelligence(人工知能)の頭文字ですが、これを日本語でローマ字読みすると「愛」になるって事にスピルバーグ監督は気付いて……るわけないですね(苦笑)




A.I. [DVD]

A.I. [DVD]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • メディア: DVD



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駅馬車

これは映画でも見ていないんだけど、やっぱり鉄腕アトムの影響を受けたのかなぁ。
同じようなテーマの話が有りますよね。
by 駅馬車 (2008-06-25 23:14) 

リュカ

駅馬車さん、いらっしゃいまし♪
「機械が心を持ったら…」というテーマのお話結構ありますね。やっぱりアトムの影響でしょうかねぇ。
by リュカ (2008-06-25 23:52) 

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