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演劇集団キャラメルボックスサマーツアープレミアム『涙を数える』 [観劇]

演劇集団キャラメルボックスのサマーツアー『TRUTH』とプレミアム公演『涙を数える』、8月10日の回を観てきました。
まずは『涙を数える』から。

安政6年(1859年)9月、上田藩士・長谷川鏡吾は21歳、8歳の時、父が公金横領の罪で切腹。以来、母・淑江と二人で暮らしてきた。
ある日、幼なじみの舟橋明一郎が父・舟橋貞蔵を斬って、江戸へ逃亡。鏡吾は藩の命令で、目付の南条朔之助とともに、江戸へ向かう。江戸藩邸に着いた二人は、世話役の大佛聞多とともに、明一郎を探す。
鏡吾は、明一郎の妹・樹雨から、兄を助けてくれと頼まれていた。もちろん、鏡吾も助けたかった。が、南条は、明一郎が抵抗した場合、問答無用で斬ると言う、南条は上田藩随一の剣士で、明一郎はもちろん、鏡吾にも歯が立たない腕前だった……。
(パンフレット「TALK&PHOTOBOOK」より)

この作品はキャラメルボックスの人気作品『TRUTH』のスピンオフ作品となっています。が、こちら単独で観ても充分に楽しめます。

まず、主役ではないけれど抜群の存在感を放っていた南条のオーラに惹きつけられました。
舞台上に登場し状況を話し始めた時から、「この人の目的はそれだけじゃないだろう」と感じさせるラスボス感、敵役ですが言葉の端々や、飄々とした性格の聞多とのやり取りから根は生真面目で堅物な人なのだろうと感じさせる魅力的な人物でした。殺陣でも「この人強い!」というのが、演劇も剣術も素人の私が観てもはっきり伝わってきてかっこよかったです。

主人公・鏡吾と友人の明一郎、転落していく鏡吾の人生に対し、順風満帆な明一郎の生き様はそれまでの友人関係に暗い影を落とします。明一郎の明るさと鏡吾へ示す優しさは彼を苦しめ、一度は友人の縁を切ると決意させました。職に就けず日々の暮らしにも事欠く鏡吾にとって、勘定方の仕事を投げ出して江戸へ出奔し「国を共に変えよう!」と熱く語る明一郎は、共に生きるには強すぎる光だったのだと思います。
そして後半、明らかになる鏡吾の父の死の真相と明一郎が父を惨殺した理由に、若い鏡吾や明一郎にはどうにもできなかった運命に胸が詰まります。
逆だったかもしれない2人の人生、そして家族を守る為にそれぞれの道を選んだ彼らの父。明一郎の父の「仕方が無かったんだ」という言葉の悲痛さが心に沁みます。それを聞いた明一郎は怒るのですが、やっぱりどうしようもなく仕方のなかった事なのだと思うと切ないです。

南条と共に明一郎を追いながらも、事件の真相を知った鏡吾は彼を逃がすと決めるのですが、南条に見つかり追い詰められてしまいます。斬り合わねばならなくなった鏡吾と明一郎の本気の戦いぶりに胸が締め付けられました。そして南条との戦い、圧倒的な力の差、それでも友を救おうと立ち向かう姿に惹きつけられます。
救えなかった友、晴らせなかった父の汚名、それでもそれらを抱えて生きると決めいつか父の汚名を晴らすと誓った鏡吾の心は、(少なくともこの作品の時点では)真っ直ぐだったと思います。一心不乱に木刀を振るう鏡吾の背に呼び掛け手を振る明一郎。彼の声は鏡吾には届かなかったのでしょうか。「友はいらない。生涯、友は明一郎ただ一人」と語る鏡吾。ここから9年後が『TRUTH』の舞台なのですが、9年の間に何があったのか(『TRUTH』が先にあったので仕方のない事なんでしょうが)、彼には幸せになって欲しかったのに、と悲しくなりました。


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演劇集団キャラメルボックス2013サマーツアー『ずっと二人で歩いてきた』 [観劇]

キャラメルボックスサマーツアー2本目、前記事の『雨と夢のあとに』から5年後という設定になっています。

桜井雨は18歳。大学へ入学するため長野から東京へやってくる。引っ越しの日、アパートの窓の外からウッドベースの音が聞こえた。数日後の夜、アパートの前で、男が倒れているのを発見。それは、上の階の住人で大学生の栗原雅俊という男だった。雅俊を部屋に運び込むと、そこにはウッドベースがあった。翌日、雨が雅俊の部屋を訪れると雅俊は中に入る事を拒んだ。恋人? しかし、同居人の姿を見た者は誰もいなかった……。
(公式サイトより)

まず、誰しもが思ったであろう事を。
「ほっくん、5年の間に何があった……?」
さて、観劇前はタイトルの「二人」とは、雨と幼馴染みの北斗を指しているのかと思っていたのですが、前面に出ていたのは雅俊とその兄、優作の二人でした。喧嘩っ早く豪気な兄を繊細で優しい雅俊は幼い頃から慕っています。強い絆で結ばれた兄弟。けれど兄の姿は誰にも見えていない。
優作も雨の父・朝晴と同様、幽霊となって弟を守ってきていたのですが、雅俊の望みを妨げる者を排除し突き進む姿、そしてそれをわかっていながらも兄を慕う雅俊の姿は、愛情よりも執着のように見えてきてしまいました。根底には愛情があるのがわかるのですが、あまりにも強すぎる気持ちに恐ろしさを感じました。幼い頃、母親に捨てられたという過去も2人の絆と想いを歪みかねないほど強いものにしたんだろうと思います。
天国へ行った朝晴からの「世界一幸せになれ」という宿題に悩む雨に、死して尚共にいる雅俊達の姿は間違ってると映ります。天国へ行くよう勧める雨に激昂する優作は一緒にいた北斗を攻撃、大怪我を負わせます。優作の想いに恐怖を感じながらも必死に説得する雨。死者が生者に触れると寿命を縮める、それを証明するように頻繁に体調を崩し倒れる雅俊に頑なだった優作の心が揺れ始めます。雅俊も、大好きな兄と別れるのは辛い、けれどこの生活をいつまでも続けていられないと気付き苦悩します。
優作が天国に行くことを受け入れ、雅俊に最後の想いを語るシーンに胸が熱くなりました。
雨に祖父母や母、北斗達がいたように、雅俊にも家族がいて、支えてくれる人がいる。愛する人がいなくなってしまっても、取り残されるわけじゃない、1人ぼっちなんかじゃないんだと感じさせてくれます。

愛って何か、幸せになるってどういう事か。考えさせられる作品でした。
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演劇集団キャラメルボックスサマーツアー『雨と夢のあとに』 [観劇]

久々の更新になってしまいました。
今月は演劇集団キャラメルボックスの公演を2本観てきました。
まず1本目『雨と夢のあとに』

桜井雨は中学2年の女の子。幼い頃に母を亡くし、今はベーシストの父・朝晴と二人で暮らしている。
朝晴は蝶の収集が趣味で、幻の蝶と呼ばれているコウトウキシタアゲハを捕まえるために台湾へ行く。
森の中でついに幻の蝶を発見、ところが捕まえたと思った瞬間、穴に落ちてしまう。
数日後、朝晴は無事に帰国。心配していた雨は涙を流して喜んだ。が、朝晴の姿は雨にしか見えなかった。
朝晴は自分の身体を穴の底に置いてきた。魂だけが戻ってきたのだ。もう一度、雨に会いたくて……。
(公式サイトより)

まだ中学生の雨を1人きりにはできない、そんな強い想いで戻ってきた朝晴。幽霊なのに、身体に触れて話をする事もできるのが、その強い想いの現れなんだろうと思いました。とっても仲の良い親子の姿は2人が積み重ねてきた時間の幸福さを感じさせてくれて、2人のやり取りを観ていると心和みます。
朝晴のかつてのバンド仲間の早川夫妻と息子の北斗、家出してきた朝晴の実家の両親、隣人の暁子、雨と朝晴を取り巻く人々の優しさと愛情の深さに心打たれました。
中盤で明らかになる雨の出生の秘密と、幽霊と生者がずっと一緒に過ごす事は不可能だという現実。引き裂かれてしまう雨と朝晴を守ろうと奔走する皆の姿と、自分は死んだのだという現実と雨を守りたいという想いの間で揺れる朝晴の姿、現実がどうであっても朝晴と一緒にいたいという雨の願い。疾走感を増していく展開の中で、それぞれの強い想いに惹き込まれます。特に雨に片想いしている様子の幼馴染み・北斗の一途さに惹きつけられました。
そして訪れる別れの時。父娘2人きりで乗る観覧車。「お父さんを独り占めできるから好き」という旨の雨の言葉に、ベースや蝶に夢中になってしまう朝晴への淋しさが込められていてジーンとしました。2人の別れに相応しいシチュエーションだと思います。そして朝晴から雨への「世界一幸せになれ」という言葉に、娘を残して死んでしまった彼の悲しみや雨への愛情が溢れていて涙が止まりませんでした。
幽霊の朝晴と雨が過ごしたのは夏の10日間。正に夢のような日々のあとに、雨に残されたものはたくさんの愛情なんだと思います。それらを受け取った雨が今後どんな風に生きていくのか、悩んだり悲しんだりしても「世界一幸せ」になれるのではないかと思いました。

想い合う父娘の別れという悲しい結末ですが、死して尚娘を想う父の愛情と、雨自身の前向きさ、周りの人々の優しさにとても明るく温かい気持ちになれました。
こんな風に愛し愛されて生きられたら、と思います。



(どーでもいい追記)
原作もドラマも未見で初演も観ていない私は、公式サイトを見て「朝晴」をずっと「あさはる」と読んでいました。幕が開いて「ともはる」と呼ばれている大内さん(朝晴役)にしばらく困惑してしまいました(汗)
ところで、事実を知って混乱する雨のためにとマリアが呼んだ「広瀬教授」とは『嵐になるまで待って』の広瀬教授と同一人物なのでしょうか??



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演劇集団キャラメルボックススプリングツアー 『ナミヤ雑貨店の奇跡』 [観劇]

先日、演劇集団キャラメルボックスの公演『ナミヤ雑貨店の奇跡』を観てきました。東野圭吾さん原作の作品です。
弱冠ネタバレがあります。ご注意下さい。

敦也と翔子と幸平は同じ養護施設で育った仲間。ある夜、ある家にコソ泥に入り、逃亡の途中で廃屋になった雑貨店に逃げ込む。すると表の方で微かな物音。シャッターの郵便口から誰かが封筒を入れたのだ。中の便箋には、悩み事の相談が書かれていた。この雑貨店は、店主が生きていた頃、近隣の住民の悩み事の相談に答えていたのだ。3人はほんの遊び心から返事を書いて、牛乳箱に入れる。すると、またシャッターの郵便口から封筒が。そこには、3人の返事に対する更なる質問が書かれていた。しかも、差出人は数十年前の人間らしい……。
(公式サイトより)

これまでのキャラメルボックスの作品は、愛する人や家族、仲間の為に奔走する主人公が多かったように思うのですが、今回の主人公は顔も名前も知らない人の為、遊び心からだんだんと真剣に相談に答えるようになっていきます。養護施設で育ち、その後も幸福とは言えない暮らしをしてきただろう3人の擦れた心が変わっていく様に、他人と真摯に向き合う事の大切さを感じました。
過去から届く悩み相談の手紙、持ち込まれる悩み事は様々で相談者の行く末も様々ですが、中でも心打たれたのはミュージシャンを目指す青年と家族の姿です。稼業を告がず家を出た息子に、父親が投げた言葉。物事に真剣に臨む覚悟を突きつける父の声に胸を打たれました。青年は誰かを救い、現在へと縁を繋げていきます。
ある貧しい青年と良家の令嬢、引き裂かれた1つの恋から始まるたくさんの繋がり、ナミヤ雑貨店に救われた人が他の誰かを救い、彼らがまた誰かを救います。大切な人を救いたいと決死の覚悟で奔走する人、意図せず誰かを救った行動、人は1人じゃ生きていられない事を感じさせてくれます。
過去からの現在へ届いた手紙と、現在からの過去へ送られた言葉が、複雑に絡み合って物語を織り成す東野さんらしいストーリーテリングと、誰かを思う気持ちが奇跡を巻き起こしていく様がキャラメルボックスの雰囲気ととてもマッチしていて、完全なハッピーエンドとは言えないけれど明日への希望を持てる素敵な舞台でした。

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演劇集団キャラメルボックス『容疑者Xの献身』 [観劇]

演劇集団キャラメルボックススプリングツアー『容疑者Xの献身』、5月16日のお昼の回を観に行ってきました。

あらすじは初演とほぼ同じなので省きまして。

初演でカットされていて残念に思った原作の重要なキーワードが、今回は盛り込まれていてより一層心揺さぶられました。
真相を察した湯川の無念さと、石神の狂気にも似た深く一途な思いが胸に突き刺さってきます。湯川がこのキーワードを口にした時から涙が止まりませんでした。
更に靖子の娘・美里の苦悩も痛いくらいに突き刺さってきます。
序盤の「そんなのおかしいよ!」という叫び、靖子が工藤と食事に行った事を知った時の言葉、そして石神が自首した後に取った行動に涙が溢れました。中学生の少女が体験するにはあまりにも重い現実に心が痛みます。

初演では純愛ドラマ寄りの雰囲気、再演の今回はミステリードラマ寄りの雰囲気を感じ、原作の持つ様々な魅力を改めて感じさせてくれます。
重く切ないストーリーですが笑い所もありとても素敵な舞台でした。
是非、原作ファンの方にもそうでない方にも、多くの方に観て頂きたい舞台です。



生活環境が変わり多忙になってしまったため、かなり久々の更新になってしまいました。
読書や映画を観る時間は全くなくなってしまい、家事と仕事(共に年中無休)で1日が終わる日々です。でも楽しんで仕事をしていて、充実した日々だったりします。
半休をもらってキャラメルを観に行くのを楽しみにしています。

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細見大輔さん出演『少年探偵団』観劇 [観劇]

今日は細見大輔さんが出演されている舞台、『少年探偵団』を観て来ました。
(若干ネタバレあり注意)

東京のデパートの洋服売り場で、人形に扮した宝石泥棒「人形怪盗」が現れた。
この事件が東京じゅうの評判になった三日後の夕方、
小林芳雄率いる「少年探偵団」の団員である、井上一郎とポケット小僧は、
町のはずれで顔の動かない怪しい男を目撃する。
早速尾行しはじめるが、男は突如行方をくらましてしまった。
辺りを見渡し、不自然なマンホールを見つけた二人は、
「少年探偵団」のBDバッジをその場に撒き、マンホールへと入っていくが…

危険を顧みず突き進んでゆく少年二人に待ち受けていたものとは?
そして、そのBDバッジを見つけた小林少年が取った行動とは?

果たして、「少年探偵団」は怪しい男を捕らえることが出来るのか?
(公式サイトより)

子どもの頃、少年探偵団シリーズを夢中になって読んでいました。大好きな作品に細見さんが出演されるという事で今日が待ち遠しくてたまらなかったです。
どちらかというと明智小五郎や小林少年よりも怪人二十面相に惹かれていた子ども時代なので、開演前にパンフレットを買って細見さんが怪人を演じるとわかると、推測はしていましたがやはりテンション上がります!
これまでにも色んな俳優さんが二十面相を演じてきましたが、この公演の細見さんの迫力といったらもう凄いです!
怪人が登場した瞬間から、小説で感じた乱歩世界独特のおどろおどろしい雰囲気が舞台上に溢れてきて、それまでの少年達による活き活きとした空気から一変、ひんやりと冷たく暗い、怪しい空気に変わります。少年を誘う優しくも妖しい声、罠にかける時の巧みな声色、高らかな笑い声、目的の為に手段を選ばない(殺しはしないけど)恐ろしさetcetc、目を背けたくなる怖さではなく、心奪われ思わず吸い寄せられてしまうような美しささえ伴う怖さと、圧倒的な存在感に目も耳も心もすっかり惹き付けられました。
悪の存在なので最後には小林少年に破れ退散してしまうのですが、去り際にも強烈な存在感を残し得体の知れない恐ろしい人物という印象が強められます。
反面、明智探偵が信頼を置く中村警部も細見さんが演じられています。原作のどこか抜けていてお茶目な警部さんっぷりもまた魅力的でした。
中村警部と怪人、真逆な役どころですがどちらも細見さんの魅力がたっぷりで、またこの難しい役どころの繊細な表現はもう素晴らしいの一言に尽きます。
そんなわけで、細見さんに惚れ直した一日でした♪

主役の少年達ももちろん魅力的です。
小林少年は責任感が強く大人びた優等生ですが、それが全く嫌味に見えず、時に子どもらしい表情も見えて、小説の中の小林少年そのまんまの可愛らしい存在でした。彼を慕う少年達もみんな個性的で、怪人に立ち向かう勇気に励まされ、また仲間を想う強い絆を羨ましく思いました。
「自分達はまだ子どもで、出来ない事がたくさんあるのはちゃんとわかっている。」
「でも、出来る事には真っ直ぐに突き進む。」
「諦める事に慣れたくないんです。」
小林少年のこの(一字一句正確ではありませんがこんなニュアンス・汗)台詞に心打たれました。
迷いも曇りも無いその瞳に映るものは、きっと全てが輝いているのでしょう。

乱歩世界の幻想的な雰囲気を味わい、童心に返って楽しめる素敵な舞台でした!
10月16日まで、青山円形劇場で上演されています。
是非たくさんの方に観ていただきたいです!
タグ:少年探偵団
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演劇集団キャラメルボックス2011サマーツアー『降り注ぐ百万粒の雨さえも』2回目観劇 [観劇]

昨日、演劇集団キャラメルボックスの公演、『降り注ぐ百万粒の雨さえも』お昼の回を観てきました♪
(ネタバレあり注意)

<あらすじ>
慶応4年1月、鳥羽伏見の戦いに敗れた新選組は、船で江戸へ向かう。副長・土方歳三は江戸での再起を叫ぶが、隊士は半減。池田屋騒動の頃の勢いはもはやどこにもなかった。一番隊士・立川迅助は、土方の命令で、沖田総司の世話係となる。沖田は労咳が悪化し、一人で歩くこともできなくなっていた。隊から離脱し、千駄ヶ谷池尻橋近くの植木屋の離れで静養することに。しかし、土方たちが甲陽鎮撫隊として、甲府に行くと聞き、無理やり後を追いかける。迅助が止めるのも聞かずに……。
(公式サイトより)

初日を観て展開がわかっていても泣けますね……。
わかっているからこそ泣けてくる所もあり。
(以下ネタバレ多数につき追記へ)

新撰組ファンはもちろん、そうでない人にも、幕末史をよく知らなくても、充分に楽しめるお勧めの舞台です!


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演劇集団キャラメルボックス2011サマーツアー『降り注ぐ百万粒の雨さえも』観劇 [観劇]

演劇集団キャラメルボックスのサマーツアー『降り注ぐ百万粒の雨さえも』、初日6日のお昼の回を観て来ました♪

慶応4年1月、鳥羽伏見の戦いに敗れた新選組は、船で江戸へ向かう。
副長・土方歳三は江戸での再起を叫ぶが、隊士は半減。池田屋騒動の頃の勢いはもはやどこにもなかった。
一番隊士・立川迅助は、土方の命令で、沖田総司の世話係となる。沖田は労咳が悪化し、一人で歩くこともできなくなっていた。隊から離脱し、千駄ヶ谷池尻橋近くの植木屋の離れで静養することに。
しかし、土方たちが甲陽鎮撫隊として、甲府に行くと聞き、無理やり後を追いかける。迅助が止めるのも聞かずに……。

まだ始まったばかりなので詳細な感想は後日改めるとしまして。
大好きなキャラメルボックスが大好きな新撰組の舞台をやる、至福です。
2009年に上演された『風を継ぐ者』の続編という形になっています。
この時代の新撰組はかつての勢いを無くし、転落の一途を辿っているわけで。
でも、誰も絶望なんかしていない。どんなに苦しい状況でも自分の信念を貫いて走り続ける、そんな熱い皆の姿に惹き付けられました。
殺陣もかっこよくてしびれますし笑い所も満載、あの人の生き様に涙し、あの人の行動に愕然とし、あの人にたくさん笑わせてもらい、たくさんの元気をもらえたあっという間の2時間でした!
……まさかあの人に泣かされるとは……!

新撰組にとって敵だけど悪ではない人達もまた、熱い想いと共にあの時代を駆けていて、彼らの生き様にも胸を打たれます。
彼らが戦う理由とその姿、最高にかっこよかったです。

前作を知らなくても歴史に疎くても絶対に楽しめる作品です。
是非、たくさんの人に観て頂きたいと思います。

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演劇集団キャラメルボックスアナザーフェイス『ナツヤスミ語辞典』 [観劇]

演劇集団キャラメルボックスの公演『ナツヤスミ語辞典』4日お昼の回を観てきました。
(若干ネタバレあり注意)


クサナギの元に一通の手紙が届いた。
それは、三年前に担任した生徒から。
そこに書いてあったのは、ちょっと不思議な夏休みの出来事だった。
カブト・アゲハ・ヤンマの3人は中学二年生。
ヤンマがプールの水を抜いてしまった事がバレて、先生からプール掃除を命じられる。
そこへ、白い服を着た男・ウラシマが表れてカブトが母から借りたカメラでみんなの写真を撮り始める。
翌日現像してみると、そこに映っていたのは、なんと15年前の景色だった……。
(公式サイトより)

あらすじから何となくイメージしたのとは全く印象の異なる物語が展開され、愛や真実、想い出、成長など色んなものが詰まった素敵な舞台でした!
ある誤解を解くためにやって来たウラシマと名乗る男。彼はカブトの母・ムロマチに会いに行こうとします。しかしウラシマと行動を共にするナナコは「止めておいた方がいい。どうせ話なんて聞いてもらえない。」という……。
彼ら3人の関係と事情が明らかになると、そこにあるそれぞれの想いが切なくてたまりません。
このウラシマを演じた鍛治本大樹さんがめちゃくちゃカッコイイのです!人が良さそうで一途な好青年で、でも女心には鈍感で……。彼の気持ちや彼を取り巻く人達の想いが切なくて涙が出ました。
またムロマチを演じたコロさんも素敵です。カブトを1人で育てる強い凛々しさ、その奥に隠された悲しみと愛情に胸を打たれました。彼女がずっと身につけていた物に、彼女の想い全てが込められているんだと感じました。

あらすじからすれば主人公はカブト達3人のようですが、私が惹きつけられたのはウラシマ達でした。
「ナツヤスミ」は私にとってもう遠い昔の懐かしいものでしかなくなってしまい、中学生の視点に帰ってこの物語を観る事は出来ず、その事にちょっと淋しさを覚えました。

パワフルで眩しくて、切なさもあり素敵な時間を過ごせました。
この公演はキャラメルボックスと柿喰う客という劇団のコラボレーションです。
キャラメルボックスとは少し違った、でも優しくて熱いキャラメルらしさもあり、安心して観ていられました。
8月11日まで、新国立劇場で上演されます。
是非たくさんの方に観て頂きたい作品です。

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演劇集団キャラメルボックス緊急公演Vol.2『銀河旋律』 [観劇]

演劇集団キャラメルボックスの緊急公演『銀河旋律』のGREENキャストバージョンを観て来ました。
(※若干ネタバレあり注意。)

タイムマシンが実用化された時代。
「ニュースプラネット」では、今日もタイムトラベラーが引き起こした事件について伝えていた。その最中、ニュースキャスター・柿本光介は軽いめまいに襲われる。柿本の過去がまた改変されたのだ。
柿本と高校教師・はるかの過去が変えられたのは、これで二度目。それは、二人の仲を引き裂こうとする、はるかの元同僚・サルマルの仕業だった。サルマルの企みを阻止しようとする柿本。しかし、翌日、またしても過去が変えられてしまう。柿本は、すぐにはるかに電話をする。しかし、はるかは1年前にサルマルと結婚していた。
はるかを取り戻すため、柿本は地位も名誉も捨てて、過去へとさかのぼることにする。
(公式サイトより)

どの登場人物の気持ちもとても切なくて、胸を打つストーリーでした。
サルマルの手によって改竄された現在で、柿本はすぐにサルマルと結婚生活を送るはるかへ電話をかけます。はるかはサルマルと過ごした日々の記憶と同時に、柿本との日々の事もまだ覚えていました。でも「それはもう無くしてしまったもの」と語るはるか。舞台上では触れ合える位置にいるのに、電話で話しているという状況に加えて心もすれ違い、絡み合わない2人の視線が切ないです。
そして改竄された現在では、柿本の同僚・桜田よしのが彼を愛しています。柿本も、それは改竄された過去の記憶だとわかっていつつも、よしのを愛する気持ちも確かに存在するのを感じます。それでもはるかを忘れたくないとタイムトラベルを決意する柿本。そんな彼に、たとえ改竄された過去だとしても今の自分には柿本が必要だと、今はこれが真実なのだと叫ぶよしのがまた切なくてたまりません。結局、職も家も全てを捨ててタイムトラベルに向かう柿本によしのが差し延べた救いの手。彼女は本当に強く美しい人だと感じました。
タイムマシンで一年前に向かった柿本は、はるかの学校で学生達がはるかとサルマルが結婚するという話をしているのを聞きます。「過去の人間と接触してはいけない」という決まりを破り、彼は必死にはるかに呼びかけます。改竄されたこの時代の流れでは出逢ってすらいない2人。「会うのは初めてだけど、ずっとずっと好きでした!」と叫ぶ柿本の姿に胸を打たれました。
また、一度きっぱりとふられたにも関わらず、ずっとはるかを想い続けるサルマル。過去を改竄してはるかと柿本を引き裂き、一時でも望みの生活を手に入れた彼は果たして幸せだったのでしょうか……。サルマル自身は「これは改竄した過去だ」と知っているはずなのに。そして柿本とよしのをくっつけようとしたのは何故なのか。ストーリーだけを見ていると、はるかと自分の仲を柿本に邪魔させないためなのだろうと思いますが、このGREENキャストでサルマルを演じた三浦剛さんを観ていると、柿本への罪悪感があるようにも見えました。サルマルは独りの淋しさを知っているから。そんな悪人になりきれない心の持ち主のように感じました。もちろん、柿本からすれば「そんな事よりはるかを返せ」って話なのですが。
他のチームのサルマルを観たらまた違う印象を受けるのでしょうね。
サルマルの視点からもこの物語を観てみたいと思います。

切ない想いでいっぱいのラブストーリーではありますが、キャラメルボックスらしい笑い所も満載です。
特にはるかの教え子である男子学生3人組の、ハイテンションで暑苦しいけど10代の少年らしい可愛らしいやり取りに、お腹が痛くなるほど笑わせてもらいました。

この公演はBLUE、RED、GREENの3チームに分かれてのトリプルキャストで行われています。
詳細はこちら
同じ脚本にも関わらずまるで違う雰囲気に仕上がっているとの事で、時間と金銭的余裕があれば全部のチームを観たい所なのですが……。
7/5まで3日間の限定公演、是非たくさんの人に観て頂きたい作品です。

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