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少女漫画『明治緋色綺譚』 リカチ [漫画]

講談社「BE・LOVE」で連載中の明治時代を舞台にした作品です。現在第7巻まで刊行されています。

明治中期、吉原の廓に売られていた鈴は、縁あって呉服屋の御曹司・津軽に身請けされる。吉原から救ってくれた津軽に恩を感じていた鈴だったが、彼がなんのために自分を救ってくれたのか解らない鈴。「縁だよ」とそれ以外何も話さない津軽の心は?少女から大人になる時間を一緒に過ごすことになった鈴と津軽。二人の運命の恋が緩やかに動き出す。
(講談社サイト作品紹介より)

主人公・鈴は小学生くらいの女の子です。利発で大人びていて、でも年相応の勝気さや可愛らしさを持っていて、つかみどころの無い津軽の一挙手一投足に見せる表情が可愛くてたまりません。そして没落貴族の出という悲しく苦しい過去を持つ鈴。津軽と出逢った時の「幸せになるわ。見返してやるの。負けない、絶対に。」という言葉と強い眼差しに惹き付けられました。
本業の呉服屋と平行して探し物を請け負う仕事をしている津軽。彼の親友・河内慎一郎と鈴の3人と依頼人が織り成す「探し物」に纏わるエピソードは、ほんわかとしていて時にシリアスで、物に込められた人の想いと、自由な恋愛が難しかったこの時代の切なさに心打たれます。
優しい津軽に恩以上の感情を抱くようになる鈴ですが、親に売られた遊郭から見受けされた身である事、遊郭で心壊れ死んでしまった姉の事、その上まだ鈴に暗い影を落とす者の存在(まだ2巻までしか読んでいないのではっきりとはわかりませんが、恐らく姉の他にもう1人いる鈴の兄ではないかと思います。)が幼い鈴を苦しめます。そして津軽は20歳前後でしょうか。2人の間にある年の差も鈴に圧し掛かります。津軽に想いを寄せる女性は多く、「津軽にとって自分は誰かの代わりなんじゃないか?」と苦しむ姿、津軽や周囲の人達に認められよう役に立とうと一途に頑張る姿に惹き込まれます。そうして探し物に行った先で火事に巻き込まれた鈴を助けに来た津軽の「君は私が選んだんだよ。代わりなんているわけ無いだろう?」という言葉に涙が溢れました。
また、商家の長男という立場で、自由などないと冷めた少年時代を送っていた津軽も「夕焼けにあまりいい思い出がない」ともらします。その後鈴に言った「2人で見ると印象が変わる――といいね?」とという台詞が胸に沁みます。
時代、年齢差、それぞれの過去。縁以上の心の繋がりが芽生え始めた2人の今後が気になります。

時代物、年の差カップルの恋、少女から大人への過程、探し物請負という探偵要素もあり、個性的なキャラクターに繊細で綺麗な絵柄、ふわふわと甘いだけじゃない綿密に織られた物語を楽しめる魅力的な作品です。


明治緋色綺譚(1) (Be・Loveコミックス)

明治緋色綺譚(1) (Be・Loveコミックス)

  • 作者: リカチ
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/09/13
  • メディア: コミック



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コメント 3

ミナモ

お久しぶりです、こんにちは~。
そして、おかえりなさいませ!
またリュカさんの感想が読めて嬉しいです。

さっそくですが、この漫画とても心惹かれます。
リュカさんが挙げられた要素要素がとても…!
今度、読んでみようと思います~。
by ミナモ (2013-05-11 14:43) 

駅馬車

今では考えにくいシチュエーションですが、表紙の絵を見ると「鈴、子供!」って思って更に違和感が(^^;
私の下の娘ぐらいですかね~
パパとしては複雑な思いです。

by 駅馬車 (2013-05-12 17:48) 

リュカ

>ミナモさん
お久しぶりです^^
嬉しいコメントありがとうございます♪またよろしくお願いします♪
本屋で試し読みしてレジ直行でした^^
お勧めです^^

>駅馬車さん
明治時代というと遊郭がまだ存在していて、身分や家柄なんかも残っていた時代ですね。女性や子どもの立場も低かったですし:;
現代では考えられませんが、7歳位の女の子が背負うには重過ぎる背景ですね:;

by リュカ (2013-05-15 18:29) 

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