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アクションアドベンチャー『ポンコツ浪漫大活劇 バンピートロット』 PS2 [ゲーム]

2005年に発売されたPS2用のロボットアクションアドベンチャーです。
自由度の高さとユニークな選択肢が注目を浴びたゲームです。

―もう一つの産業革命―
石油の発見により文明は機械化へと加速していく。そしてようやく自動車が普及し始めた頃、2足歩行する乗物「トロットビークル」がナツメッグ博士により発明された。悪路に強く二本のアームを持つトロットビークルは、農耕作業、輸送手段、土木作業等、様々な作業に自動車以上に活用され、人々の生活に無くてはならない文明の利器となった。だがその影で、機械の導入によって職を失った人々や、機械の力を揮って悪行を繰り返す人々、便利になった生活によって大切なものを失ってしまった人の姿も浮かび上がっていた。
主人公・バニラビーンズは、ウミネコ海岸に倒れている所を管弦楽団・トロット楽団のボーカリストである少女コリアンダー(通称コニー)に助けられた。バニラは記憶を失っており、自分の事が思い出せない。バニラは海岸に打ち捨てられたトロットビークルに乗りコニーと行動を共にする。
トロット楽団のライブの為に訪れた大都市ハッピーガーランド。発展する町で機械文明を謳歌する人々。暗躍する秘密結社・ブラッディマンティス。町の人々の心に影を落とす、数年前に駅前で起きたある交通事故。コニー達の顔に陰りを落とす少年・マーシュの名。
コニーを助け行動を共にするうちにバニラはトロット楽団の一員となってステージに立ち、またかつての自分を知る人達と再会する。自らの記憶を探るバニラを巻き込み、産業革命期の時代のうねりは世界を混乱させていく―

レトロで温かみのあるCGとシーンにぴったりの音楽がとても魅力的で、湖の透明感や夕暮れの町並みの美しさ、そこに流れる音楽にゲームの手を止めて魅入ってしまいました。楽団ライブのシーンでは、アメリカの歌手ナディア・ギフォードの歌が流れます。このゲームの為に作られた本格的な英詩(画面には日本語訳が表示されます)の曲で、彼女の声とメロディーがゲーム中で歌うコニーの心情をさらに際立たせていて胸を打たれました。
朝から夜へと流れる時間とそれに伴って変化する人々の生活、ビークル同士のバトルやカスタマイズ、楽器の特徴を上手く再現した音楽ゲーム風の楽器演奏等など、細かく作られていて飽きさせません。また、時間が経ち食事を取らないでいると空腹でよろよろになってしまったり、各町でアパートを借りて家具を置いたり、コニーや楽団メンバーのセイボリー、バニラが在籍している船のキャプテン、シブレットを部屋に招いたりもできて、この世界で暮らしているような感覚を味わえて楽しいです。
そして、バニラを悪人にも腹黒なキャラにも出来るのがこのゲームの最大の特徴ではないかと思います。
コニーの「ビークルに乗せて町へ連れて行って」というお願いに対してお金をせびったり、楽団メンバーに誘われてギャラを要求したり、さらには秘密結社・ブラッディマンティスに属して悪の組織の頂点を目指す事もできます。王道の善人エンディングの他に3通りの悪人エンディングも存在し、従来のゲームには見られない幅広い遊び方ができて面白いです。
またサブイベントも豊富で、この世界で暮らしている人々の感動のストーリーがあったり、面倒な事に巻き込まれたりと、一回のクリアでは遊び尽くせない楽しさが満載です。
シリアスなテーマで描かれた物語ですが、大真面目にふざけてくれたりと遊び心も満載で、飽きもせず何周もプレイしてしまいます。

―激動する時代(とき)のうねりは、ボク達に歩調を合わせてくれない―
このキャッチコピーがとても印象的でした。発展する文明とそこに生まれた身分や貧富の差は、コニー達から大切な友人を奪い、楽団のメンバーと関わりの深いある人物の運命と心を狂わせました。そして私にも事故の責任があると自分を責め続けるコニーの憂い顔に胸が痛みます。事故以来街を離れて暮らすある人物は、コニーが自分を責めている事に心を痛め、他の楽団メンバーやバニラにも優しい微笑と言葉を向けますが、彼が終盤に見せた狂気と憎悪に、あの優しさの裏にこんなにも凄まじい想いを秘めていたのかと胸が締め付けられます。そんな彼を愛し支えていた人物が、彼の運命を前にバニラ達に向けた言葉には涙が溢れました。

機械化や様々な文明の恩恵で便利になっていく生活。けれど果たしてそれは本当に幸福につながるのか? 現代にも共通する考えさせられるテーマでした。
便利な生活を求めて作られていく様々な道具。それらは使う人の心次第で、人を幸福にも不幸にも出来る物です。
このゲーム中にもビークルを始めとする機械を嫌う人々が存在します。けれど、悪いのは道具そのものではなく、それを悪用する人の心なのだと思います。
たくさんの人の努力によって生まれた便利な道具の数々、幸福につながる使い方をしたいものです。


アイレム コレクション ポンコツ浪漫大活劇バンピートロット

アイレム コレクション ポンコツ浪漫大活劇バンピートロット

  • 出版社/メーカー: アイレムソフトウェアエンジニアリング
  • メディア: Video Game



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