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古典ミステリ『オリエント急行の殺人』 アガサ・クリスティ [小説]

ミステリーの古典的名作です。名探偵エルキュール・ポワロ、推理小説が好きな人ならおおよその人が読んだ事があるのではないかと思います。

スタンブールへ向かうオリエント急行に乗り込んだポワロは、豪雪のため停止した列車内に閉じ込められてしまう。不安と憤りが満ちる中、乗客の1人が身体中に無数の刃物傷を受けて死んでいるのが見つかった。被害者は年老いたアメリカ人の実業家ラチェット。だがポワロが調査を進めるうちに、ラチェットはかつてアメリカで事件を起こした幼児誘拐魔だと判明する。
乗り合わせた乗客達は国籍も身分も様々で被害者との関わりは掴めず、また全員がアリバイを有していた。乗客たちの証言、目撃された和服の女性、現場から見つかったいくつかの手掛かり。ポワロが導き出した解決とは……。

密室殺人で犯人は絶対に乗客の中にいるはずなのになかなか犯人を特定する要素が見つからない、この事に隠されたトリックに唖然としました。大胆で手の込んだトリック、下手にこのトリックを小説内で実行すると即座にばれてしまいそうですが、細かい所まで練られていて上手く読み手の目を真相から逸らしていると思います。
そして真相に気付いたポワロが乗客達を集めて示した解答には、悲痛な思いで殺人を実行した犯人への思いやりを感じました。翻訳文であるせいか「探偵」という役割のせいかあるいは書かれた時代のせいか、あまりポワロに人間味を感じられなかったのですが、ラストシーンでのポワロの言葉には心に傷を負った犯人への思いやりを感じました。

復讐からは何も生まれないですが、でも復讐せずにはいられないほどの深い傷。真相を暴いた上で罪に目を閉じたポワロ。1900年前半に書かれた作品ですが、現代にも充分人の心に響く作品だと思います。



オリエント急行の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

オリエント急行の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

  • 作者: アガサ クリスティー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2003/10
  • メディア: 文庫



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